絶滅したはずが再発見?不思議な生物「ラザロ種」とは何か、有名な事例も紹介
1938年、南アフリカの漁師が引き上げた魚を見た科学者たちは、自分の目を疑った。その魚は、6500万年以上前に絶滅したはずの種——シーラカンスだったからだ。化石記録から完全に姿を消していた生き物が、突然、生きたまま現れた。これが「ラザロ種」という概念を理解するうえで、最も有名な事例のひとつだ。 Photo by Wolfgang Hasselmann on Unsplash 「ラザロ種」とは何か——絶滅と再発見の間にある謎 聖書の名前を持つ科学用語 「ラザロ種(Lazarus taxon)」という名前は、新約聖書に登場する死から蘇ったラザロに由来する。化石記録上では完全に途絶えているのに、ある時点で突然また姿を現す生物群を指す言葉だ。この用語は1980年代に古生物学者の間で使われ始め、古生物学者のカール・フレッサやデイヴィッド・ジャブロンスキーらによって概念として整理された。 重要なのは、これらの生物が「本当に絶滅していた」わけではないという点だ。化石記録に空白があるだけで、実際にはどこかで生き続けていた。その空白が数百万年に及ぶこともある。 化石記録の「穴」が生み出す幻の絶滅 化石が残るには、非常に特殊な条件が必要だ。生物が死んだ場所、堆積物の種類、その後の地質変動——すべてが揃わなければ、痕跡は残らない。個体数が少なく、生息域が限られた種は、化石として記録される確率がそもそも低い。つまり「化石が見つからない=絶滅した」という等式は、思っているより信頼性が低い。 これを古生物学者は「シグナー=リップス効果」と呼ぶ。化石記録の最後の出現と実際の絶滅時期がずれる現象で、ラザロ種が生まれる根本的な理由のひとつだ。 AI Generated · Google Imagen シーラカンスからムカシトカゲまで——有名なラザロ種の事例 シーラカンス——6500万年の空白 シーラカンス(ラティメリア属)は、白亜紀末の大量絶滅以降、化石記録から完全に消えていた。1938年にインド洋で生きた個体が発見されたとき、その衝撃は科学界全体に走った。その後、インドネシア近海でも別の種が発見されており、現在も深海に生息していることが確認されている。 驚くべきは、現生のシーラカンスが数億年前...